「アットホームな歯医者」
歯科医院の部分改修の事例です。30年以上リニューアルをしながら使われてきた空間ですので、イメージを一新するのではなく、医院理念をカタチにするような設計作業でした。工事内容は、解体・木工事・電気工事・給排水工事・家具工事・歯科専用チェアの工事と盛りだくさんでしたが、患者さんが待っていますので工期はゴールデンウィークの1週間のみでした。
Reform photo by Yuki Kato
上の2枚の写真は既存の状態で、モニターのついている壁を取り払い、新たに家具を設けました。このスペースは予防ルームという治療がメインではなく、予防医療や審美のための作業に使われます。
メープル柄で木目を統一し、奥の壁にはエコカラットを貼っています。歯医者さん特有の薬品など臭いを吸着させて、院内の環境を向上させることが目的です。
こちらは相談室。
既存のデスクを利用しながら、吊り戸棚やパンフレット置き、表層の仕上げをリニューアルしました。診療台の上で、やや緊張しながら今後の治療計画などを説明されるのとは異なり、過去の症例やレントゲン写真などを見ながら、治療計画を立てるスタイルです。
円形の照明はクリニックのスタッフで選定したもの。柔らかい明るい雰囲気になっています。
コンパクトな部屋をいかに開放的にしながら、プライバシーを確保するかがポイントでした。梁下の壁に穴をあけ、そこにブラインドを設置するというアイデアは、クリニックのアイデア。入り口の開口は大きく取り、空調的に閉鎖空間だったので、デスク向かって左上の壁は穴をあけました。
パンフレット置き。扉や引き出しに利用する引き手をパンフレットのホルダーに転用しました。
待合スペース。椅子の背面にはエコカラットを貼り、椅子や人のあたまが当たる部分には木目シートを貼ったヘッドボードを設置しています。シート貼りの職人さんに無理を言い、既存の分電盤(壁中央の箱)にも木目シートを貼っていただきました。
実はクリニックの院長先生が、私の中学・高校の同級生でして、今回の改修工事の共同設計者でもあります。おおまかなイメージというより、ほぼ明確なオーダーシートがあり、設計がしやすい面もありましたが、既存の改修というのはごちゃごちゃのピースの中から、最適なピースを選ぶ作業であり、そのぴったり合うなものを見つけるのに半年かけています。
親子2代で診療されている東京・大森の森歯科医院